『1冊の漫画からはじまった』

2023.06.08 Thursday

18歳の頃だったと思います。兄から1冊の漫画を勧められました。『面白いで』って。

『サンクチュアリ』
主人公は2人。幼馴染の2人が、大人になってから1人が政治家、1人が極道の世界に生き、表と裏の世界からトップにのし上がり、日本を日本人の意識を変えて行こうと、そして世界を変えて行こうと命懸けで生きる生き様を描いた漫画です。

2人は、子供時代、親の仕事でカンボジアに住んでいました。その時にベトナム戦争が起き、親や兄弟が殺され拉致され、自分達も拉致され、捕虜になります。そこでは、凄まじい捕虜生活があり、死体を埋めたり、過酷な労働を休むことなくさせられます。

そしてある時、何名かの子供たちと脱走します。途中、体力が尽きて死んでいく子たちがいます。食事も無く、ネズミを捕ったりして、全員では分けれるほどの量がないので、ジャンケンで食べる権利を決めます。ジャンケンに命を託すことが、彼らが決めた平等な方法でした。それは、みんなで死ぬより、誰か一人でも生き抜こうとする子供たちの覚悟でした。そして、2人が生き残り、国境を越え、日本に帰ってきます。

帰国した彼らが見た日本人は、『生きていない』でした。

『生きる』とは
これは、その後の私の人生のテーマともなりました。

そして、2人は、世の中を変えるために表と裏の社会に分かれます。それを決めるのは、ジャンケン。
この漫画では、人の意識を変えなければいけない。そのためには、教育制度を変えて、人を根本的なところから教育して行くことが、この理不尽な世の中を変えるために必要であると、そんな様なことが書いてありました。

当時の私は、なるほど、と納得したんですね。
そして、戦争孤児の存在をその漫画で知ることになるんですね。
18の私には、あまりに衝撃でした。
何の苦労もなく、のほほーんと好き勝手に生きていた私にとって、その存在の意味が、分からなかったんです。
何故、そんなことが起こっているのか。。。

それから調べるようになりました。学校の図書室や本屋さんで戦争孤児や難民について書かれている本を探しました。探し出すと、面白いものでやたらとそう言う類の情報が飛び込んでくるものですね。

テレビでも戦争孤児の特集があったり、本屋へ行けば、特集記事のようなものが並んでいたり、色々と知ることになりました。
その時に少年兵の存在も知りました。また、マンホールの中で生活する10歳くらいの男の子のことやバングラディシュで毎日、鉄屑を拾って売って生活費を稼ぎ、年老いた足の不自由なお婆ちゃんと2人暮らしの女の子。その子は、裸足で鉄屑の山に入りようやく一食分のパン1つのお金を稼ぎ、お婆ちゃんと分け合って生きている。

そんな話をたくさんたくさん知りました。

あまりにショックでした。胸の奥が引き裂かれると言うか、苦しくて、嗚咽するほど泣きました。私の思いは、納めどころが見つかりませんでした。今でも見つかりません。

どうしても納得が行かない。許せない。この世界を変えたいと強く思いました。どうすれば変えられるのだろうと悩みました。
教育を変えると言っても正しい教育って何だろう?と悩みました。

ただ、少なくとも自分は、人を殺したり、戦争を起こしたり、人から奪おうと思ったりはしないし、していない。
じゃあ、自分が受けた教育が一番正しいのかと言うと、そうは思えない。でも答えは分からない。
でも、とりあえず幸せには生きてきた。夢も持てるし。そのための勉強もできる。食事を食べれる。布団に寝れる。水にも困らない。普通の生活が、当たり前にできる。安心安全に生きてきた。

誰もが、それくらいは味わっていいだろうし、そう言う人生を当たり前に生きることができる世の中を作りたいと、当時の私は、思ったんですね。

その時の思いが、今までの自分を支えてきました。

その思いは、今でも変わっていません。
その答えは、20数年探し続けました。

ようやく見つけました。
ある一人の女性との出会いで。
今の私の師であり、血の繋がりは無いけど、もう一人の母とでも呼べるような方です。

続きは、また書きます。

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